地紅茶

紅茶について興味を持ってもらうためには、紅茶が生まれた歴史や文化などの背景や紅茶の種類、美味しい入れ方を知らせるだけでは不充分だと思います。私たち日本人とお茶・紅茶の出会いについて、歴史的に遡って知ることが大切だと思います。紅茶は英国という一辺倒の情報や紅茶を入れるためのゴールデンルールに従わない限り美味しい紅茶は入れられないという情報、日本人と紅茶とは縁のないものと思わせる情報だけでなく、もっと身近なところから、紅茶の情報を知らせていかなければならないと思います。その為には、色々なアプローチが考えられると思いますが、私はその為の一つの方法として、紅茶を地紅茶(じこうちゃ)と呼ぶことで解決できるのではないかと思っています。地紅茶とは、造語ですが、よく一般に使われている地酒や地ビールと似た意味合いを持っています。つまり、国内でつくった紅茶、国産紅茶という意味ですが、地紅茶の「地」には、国産という意味より、限られた地域や地方を指し、その土地で出来たものという意味合いのほうが強いのです。また、「地」には、大地や土地、地面から地球というイメージにまでつながり、環境を含めたもっと深い意味が込められています。辞書によれば、地(ジ)とは、「本来のまま、中心になるものの基礎、根底」とあります。私は、紅茶にこの中心となるべき基礎、基本という考えを込めて地紅茶と呼びたいと思っています。地紅茶こそ紅茶の本質を言い当てていると思うからです。

(藤原 一輝)